2026年6月29日月曜日

バッキンガム宮殿



バッキンガム宮殿はロンドンの観光名所のひとつとして有名です。

1837年に即位したヴィクトリア女王の時代から、この宮殿が王家の自宅になりました。
それまでは別荘扱いだったんです。

バッキンガム宮殿は現在一部が改修中。

老朽化したケーブル、鉛管、配線、ボイラーなどが火災や水漏れの原因になることを防ぐためというのが理由です。
そういった事情もあって、チャールズ王はバッキンガム宮殿にお住まいではありません。

この改修が終わったら、戻ってくると思っていた人も多かったようですが、どうやら戻らないことになりそうです。

自分が住まないことで宮殿を最大活用しようというつもりのようです。

例えば、1992年の火事に遭ったウインザー城の修復費を捻出するために始まったバッキンガム宮殿の夏季限定一般公開という行事。
とても人気なアトラクションですが、期間は7月の終わりから10月のはじめまで。

バッキンガム宮殿の一般公開(2025年)(リンクします)王様がスコットランドに避暑にお出かけの間だけ、セキュリティーをそれほど気にしなくてもいいからです。

もし王様が住まなくなれば年中公開することが可能です。
他にも東棟のツアー(リンクします)なんかももっと頻繁に開催できるはず。
その収益は王室美術品の管理・保存を担っている慈善団体のロイヤル・コレクション・トラストに寄付されています。

最新の王室会計報告によると、改修の費用は3億6900万ポンドで来年終了する予定。
そんなにもお金をかけたのにバッキンガム宮殿には住まないことが明らかになったのでイギリスでは一部批判も聞かれます。

チャールズはすぐお隣のクラレンス・ハウス(元クイーンマザーの住居)に住み続けるようです。
年齢も70代後半だし、自分たちとスタッフをバッキンガム宮殿に移すのも面倒という理由も大きそう。

それでも今後も宮殿は国賓晩餐会やガーデンパーティーから、首相や新任大使とのレセプションや謁見までいろんな行事に使われるそうです。

「陛下はバッキンガム宮殿に深い愛情を抱いており、王室生活と公的生活における宮殿の役割を深く尊重しておられます」
「その他の点では、宮殿は王室の活動が活発に行われる場所となるでしょう。」
というのが広報からの発表。

これからは夏以外にも観光で訪れることが可能になりそうです。

2026年6月22日月曜日

イギリスらしい初夏の飲み物


バーやパブに行って「イギリスらしい初夏の飲み物は?」と聞いてみれば、いったい何が出てくるでしょう?

ま、そんな聞き方はしたことがないので答えはわかりません。
きっと場所によって大きく違うものが出てきそうな気はします(笑)

私がおすすめするのはジントニックとピムス。

ジントニックはきっとどんなものなのか想像しやすいでしょう。
ジンとトニック。
そしてレモンが添えられていたり、搾ってあったりします。
パブに行くと「ジンパレス(ジンの館」なんて風にジンのコレクションを売り物にしているところも、増えました。
最近は、少し高級なトニックがいろいろ出ているので、試してみるのもいいかも。

ジンは350年ほど前オランダからイギリスに入ってきました。
それまで汚い水が飲めないということで、衛生を理由にビールを飲んでいたところ、安いジンがオランダから入ってきて、たちまち人気に。
特にメアリ2世とウイリアム3世がオランダから来たので、はじめはファッションでもあったようです。
ただ、アルコール度数が高いのに、ビールのようにそのまま飲む人たちも多くて、酔っ払いが増えたことが社会問題にもなりました。
ホガースの絵で有名ですね。
ジン横丁(ホガース)



イギリスに来てまだ日が浅ければ、ピムスという飲み物は聞いたことがないかもしれません。

ピムス(PIMM”S)という名前でボトルが売られています。
パブやバーなどではジャグやグラスで注文します。
生のままではなく、レモネードで4倍くらいに希釈して、さらにフルーツやキュウリやミントを加えて楽しみます。


スポーツ観戦の時に見かけることが多いので、ぜひ試してみてください。
お味はアイスティーみたいな感じ。
飲みやすいですが、アルコールが入っていますから気を付けて!

2026年6月15日月曜日

ガーター勲章


6月の半ばにウインザー城に行くと、お城が閉まっていることがあります。

観光名所であることは疑いようがないのですが、イギリスの観光名所には「現在も使っている王家の場所」というものがいくつもあります。
なので、タイミングが悪いと王家の行事のために観光で入れない場合もあるわけです。

6月の半ばにはガーター勲章の儀式が城内で執り行われます。

ガーター勲章は、イギリスで最も高貴な勲章です。
24人の終身制の騎士たちと、国王(もしくは女王)そして皇太子の26人からなる騎士団。
この騎士団に所属する貴族たちの家紋が城内のセントジョージ礼拝堂にかけられています。


ずらりと旗が並んでいますね。

右手のオレンジ色の旗、見えますか?
真ん中が菊の御紋。
これは、上皇さまと天皇陛下がガーター勲章をお持ちなので、ここにかけられているのです。
ガーター勲章を制定したのはエドワード3世という王様です。
この人!
ふたつの王冠が剣に刺さっているのは、イギリスの王様というだけではなく、フランスの王位継承権を請求したからです。(もうひとつはスコットランド)
そのために起こったのが100年戦争。

自分のために戦ってくれる勇士たちのための勲章がガーター勲章ということです。
赤十字の旗を金で縁取りされた青いベルトがぐるりと囲んでいます。
赤十字はセントジョージの旗。
そして、ベルトはガーターですから留め金があるように見えるの、わかりますか?
そこにはラテン語で「邪悪な考えを恥じよ」と刻まれています。

これには面白い逸話があります。
100年戦争は、100年間ずっとひとつの戦争があったわけではなくて、色んな戦争が含まれています。
あるときイギリスが勝った後のお祝いパーティーで、エドワード3世が片思いのお姫様を見つめていました。
するとあろうことか、その彼女がはらりとガーターベルトを落としてしまったのです。
「あっ」と思った王様は彼女の元に駆け寄ってガーターベルトを拾って手渡したそう。

周りのみんなのくすくす笑いの中、彼はガーターベルトを高々と掲げ、
「邪悪なる考えを恥じよ(Honi soit qui mal y pense)」とラテン語(の一種)で言ったとか。
そこで止めておけばよかったのですが、その後「お前たちもすぐにガーターを身に着けたくなるだろう!」と言ったので勲章を創る羽目になった、というもの。

眉唾物のお話ですが、面白いですよね。

本当は、馬に乗る騎士たちがつけて一番目立つのがひざ下の靴下留めだというのですが、全く面白みがありません(笑)
なので観光ガイドは普通ダンスパーティーの話をします。
他にもお相手の女性は長男ブラックプリンスのガールフレンドだとか。

天皇陛下は2025年の公式訪問の際、宮中晩餐会の少し前にこちらを受け取られ、それを身に着けて晩餐会に臨まれました。
写真はBAZAARから(リンクします)

お城に行く機会があれば、ぜひセントジョージチャペルで菊の御門を探してみてください。



  ブログのランキングに登録しています。 よかったらクリックして応援してください。
イギリスランキング

 


次回の更新は6月22日です!

イギリスの政府公認観光ブルーバッジガイドについては私のウェブサイトをご覧ください(リンクします)

2026年6月8日月曜日

イギリスは切手の発祥地

みなさん、こんにちは!
先週は郵便ポストのおはなし(リンクします)を紹介しましたが、今日はポストに投函するお手紙に貼られた「切手」について書いてみようと思います。

ロンドンで切手を買いたければどこに行けばいいのか?
最近は旅先から絵葉書を出すなんてことはほとんどなくなってしまいました。
以前は本当によく聞かれた質問で、併せて日本までの郵便料金もしっかり頭に入っていましたが、最近では国内の郵便代ですらグーグルしないといけない始末(笑)

少量の切手が必要なら、普通のスーパーマーケットのカウンターで購入するのが手っ取り早いです。
ただ、4枚綴りとか10枚つづりで売られているので、必要が無いものまで購入しなくてはいけない場合も多いです。
毎年値段が上がっています。
現在(2026年6月)国内のファーストクラスは1.80ポンド、国外へは3.60ポンドもします。
5つ星ホテルに泊まっているのなら、コンシエージュに渡すと無料で送ってくれます。
国会議事堂の中から送るのも無料。
昔、自分宛てに一枚はがきを送ったことがあります(ちゃんと届きましたが20年以上前のおはなし)が、大量に送ったことはありません。
一度50枚くらいクリスマス時期に国会のガイドツアーに乗じて送って、本当に届くかどうか試してみたいです(笑)
もし届くなら(←これが重要😁)ツアー代金がチャラになるくらいお得です!

記念切手や珍しい切手を買うならストランド通りにあるギボンズが最適。
ここでは切手収集家のための雑誌も出しています。


それにしても記念切手や古い切手のお値段ってよくわかりません。
1840年に切手の利用が始まった時には黒い1ペニーと青い2ペンスの2種しかなかったわけで、その額面で取引がされていました。
新しいもの好きな人がシートで購入して壁紙に使った例もあったとか。

印刷の際は横に12枚x縦に20列というサイズのシート印刷でした。
ということで黒い切手が240ペンス、青だと倍の480ペンスですね。

今は十進法だから240ペンスは2ポンド40ペンスですが、1972年まではもっと複雑でした。
12ペンスで1シリング、そして20シリングが1ポンドです。
ということはペニーブラックのシート1枚が1ポンドってことですね。

1840年当時、1ポンドは熟練労働者の4-5日分のお給料だったそうです。

今では世界中の切手が取引されていて珍しいものだとすごい金額になったりします。


ウインドウにはお値段と一緒に切手が飾られていたりするので覗いてみると面白いです。
きれいなセットのものは500ポンドから2000ポンドくらい(9万円から38万円)。

これなんかは消印があるから使用済みのものですね。
ローデシア(現ジンバブエ)の切手で何と6000ポンド(100万円ちょっと?)

イギリスの切手はローランド・ヒルという人が1840年に考案しました。
それまでは届け先と枚数によって違った金額を1ペニーに統一して切手が始まりました
ここが発祥の地ということもあって、イギリスの切手には国名が書かれていません。
日本だと「NIPPON」と書かれていますよね。
イギリスの切手は金額か、もしくはクラスが書かれているだけです。

この写真は2022年のもの。
従来のスタイルに代わって、コード付きの切手に変換しないといけない案内がありました。
1st というのはファーストクラスということで、使用時のファーストクラス切手の価値がありますから購入時の値段に左右されません。
例えば20年前に購入しても、現在のファーストクラスの価値として取り扱われるということです。

記念切手はコードがついていなくても大丈夫。
普通は収集のために買う人も多いので流通しないものも多いです。

2026年6月1日月曜日

郵便ポスト


イギリスの生活に昔から欠かせなかったのはパブの存在です。
小さな村にもパブがあってそのコミュニティーの中心となっていました。
最近は毎年いくつものパブが経営難から閉めてしまうそうで、残念な限り。

パブは宿屋として使われることもありました。
大きなところでは「コーチイン」と呼ばれて代馬が常備されていたり、ミニ劇場のように観客を収容できるところもありました。

切手の制度が法制化する1840年以前からイギリスには私立の飛脚制度があって、パブではその取次ぎなんかも行っていました。

ちなみにその時に馬をつないだパブの前の杭を「ポスト」と呼んだわけです。
今私たちが手紙を投函するのも「ポスト」。
面白いでしょう?
実際パブの近くには、必ずといっていいほど郵便ポストがあります。

最近は取り除かれてしまっているケースがほとんどですが、ポストをよく見ると曜日の小さなプレートや(取り除かれたものは)プレートのための枠が目に入ります。
大きさは5cm角くらい。
郵便屋さんがその日の最終集配のときにこのプレートを取り替えます。
なので、投函する人はその手紙が翌日配達(基本的にファーストクラスは翌日配達)されるかどうかがわかるという仕組みです。

イギリスのポストにはロイヤルサイファーという、作られた時代の王様や女王様のイニシャルが刻まれています。
一番古い VR(ヴィクトリア女王)から EIIR(エリザベス女王)までが表になっています。

一番新しいものは CIIIR (チャールズ3世)なんですが、数がとても少ないので私は見たことがありません。



この写真は上に写真を載せたパブ White Swan のすぐ横にあるポスト。

投函口の上の部分にV 王冠マーク、そしてRと書かれています。
なので、ヴィクトリア女王時代のもの。

円柱タイプのものもよく見かけます。
ウインザー城の近くには緑色のもあります。

ウインザー城の中にはヴィクトリアの息子、エドワード7世のポストが。
お母さんが長生きしたので、お爺さんになってから王位につきました。
だから王様だったのは1901-1910だけ。

そのあと王様になったのはジョージ5世。
その時代のポストにはGRと書かれています。
結構よく見ます。
珍しくはない。

逆に見かけることがほとんどないのはその息子エドワード8世のもの。
シンプソン夫人と結婚するために、王位を捨てた王様。
1年しか王様じゃなかったので、英国に約130個しかありません。
実は私はまだ見たことがありません。
ロンドンには10個あるらしいので、そのうち探してみることにします(笑)

さて、英国王のスピーチで有名になったジョージ6世のもの。
彼はエドワード8世の弟で、エリザベス女王のお父さんです。
ジョージ5世のものはGRと書かれているだけ。
6世のはG と R の間にVI(6)が入ります。

そして、最もよく見かけるのがエリザベス2世のもの。
イギリス国内に11万5千の郵便ポストがあるそうですが、その半分以上がエリザベス2世。

さてそれではちょっと面白いポストを紹介しましょう。
これです。


どこがおもしろいの?って思いますよね。
何の変哲もない、ふつうのポスト。

でもよく見ると、ロイヤルサイファーが入っていないんです。
このポストは Anonymous(匿名)ポストボックスとよばれています。
Andrew Handyside という人が、1879 年から 1883年の間に製造したもので、普通なら入っているべき POST OFFICE と VR が入っていません。
間違いに気が付いたときにはすでに手遅れ。

それがそのまま残っているのがイギリスっぽいですね。
「まっ、いいか」って感じ。
日本だったら絶対に撤去されてるだろうな~。
こういったユルイところがイギリスの魅力の一つだと思います。

あちこちにある英国の郵便ポスト。
是非、いろんな種類を探してみてください。
形やスタイル、色や時代など本当にさまざま。

チャールズ3世のポストは新しく設置というよりは古くて壊れたのものを修繕しているそうなのでそのうち少しずつ見かけるようになるかも。
楽しみだなぁ!

 


次回の更新は6月8日です!

イギリスの政府公認観光ブルーバッジガイドについては私のウェブサイトをご覧ください(リンクします)

2026年5月25日月曜日

チューリップ


チューリップの約半数は中央アジア原産。
とても暑い夏と厳しい寒さの冬にも耐えて花を咲かせるので、チューリップが遊牧民にとって力強さの象徴になったのも頷けます。

チューリップという言葉はターバンが語源。
トルコの皇帝がターバンにこの花を挿したことから名づけられたと言われています。
ヨーロッパにいつ伝わったのかは正確な記録がありませんが、17世紀にはすでに非常に人気があったことがわかっています。
イギリスのお屋敷を訪れるといろんな花瓶を見ることができます。
そのいくつかはチューリップを飾るのに特化した花瓶。

こんな風にチューリップを活けました。
白地に青い模様なので東洋風に見えますがオランダなどで作られました。


これなんかも同じ目的。


何の役にも立たない、ただ美しいだけの花を栽培するのは大変な贅沢です。
そこでヨーロッパに入ってくると瞬く間にお金持ちの間でブームが起こりました。

オランダのチューリップバブルは有名な話。
チューリップの取引は球根でされました。
だから、どんな花になるのかをたくさんの画家が絵にしました。

生け花は長持ちしませんが、絵に描くと半永久に楽しめます。
ロンドンのナショナルギャラリーにもオランダの花の絵が楽しめるお部屋があります。
こちらはキャビネット。
色の違う石を切り取ってはめ込み模様にしてあります。
ピエトラデュラという方法。
イタリアで盛んになった工芸です。

工芸や絵画に勝るのは本物の咲き誇ったお花をお庭で楽しむこと。
これからイングリッシュガーデンが最高の季節を迎えます。
是非お出かけください。




2026年5月18日月曜日

大英博物館にある魔法の酒杯



この酒杯、ローマで作られたものなのに、なぜか大英博物館の中でも辺鄙なアングロサクソンの部屋に置いてあります。
名前は 「Lycurgus Cup」
この部屋の一つ手前(ルーム40)にはハリーポッターに出てくるチェスのモデルになったルイス島のチェスセットが展示してあります。
ハリーポッターのお話の中に、炎のゴブレットって出てきますよね。
火は出てこないけれど「Lycurgus Cup」は光を当てると、浅い緑色の本体が真っ赤に変わる不思議な酒杯なのです。

読むよりもこの写真を見るのが早い。
これ、携帯のカメラなので、肉眼だともっときれいです。

いかがですか?
展示ケースの光が変化するだけでこんなになるんです。

男の人がぶどうの蔓に絡まれて、それをなぎ倒そうと、もがいているような模様です。
この部分はガラス製。
そしてカップの縁や足元は金をかぶせた銀でできています。

どうして色が変わるのかは、ガラスに秘密があるそうです。
ガラス製品を作る際に、微量な金属を加えることで二色性ガラスというものができます。

「Lycurgus Cup」には、ものすごく細かな金と銀の粉が、一定の割合で溶け込んでいるそうです。
ワインを飲むためのカップとして作られたので、テーマにはギリシアのディオニッソス(ローマのバッカス)が選ばれました。
でも蔓に絡まれているのは、ディオニッソスじゃない。
彼のことが嫌いだった、リコルガスという王様。
あるとき、ディオニソスが彼の国に来ているとうわさを聞きます。
ディオニソスはワインの神様で、人々の正気を失わせたり、悪い行いをさせたりするので、リコルガスは悪い神様だと思ったのです。
早速、追い出そうと考えた王様は、ぶどうの蔓を切ってワインを造れなくしてしまいます。
これに怒ったディオニソスは、リコルガスの正気を失わせて、彼の家族を殺すように仕向けたり、その罪として彼の国民らによって、荒れ野へ追放したりしています。

そんな柄が入っているから、出されたワインは断らずに飲み切ってしまわないと、罰が下りそうな恐ろしいカップです(笑)
でも飲みすぎると正気を失うかも…。

お酒は楽しむ程度にほどほどにってことでしょうか?
是非いろいろ考えながらご覧になるといいと思います。




次回の更新は5月25日です!

イギリスの政府公認観光ブルーバッジガイドについては私のウェブサイトをご覧ください(リンクします)